どのバイクにしようか、あれこれウダウダと考えていたらいつの間にか冬が来て、年も明けてしまった💦
ラニーニャの影響なのか、寒波の津波であれほど欲しがったバイク熱も今は影を潜め、クルマの暖房がありがたい軟弱ライダーに変身だ。
バイク乗りは冬が嫌い?
革ジャンに身を包んで、キンとした張り詰めた空気の中を走るのは嫌いではないが、暖房の効いた部屋でヌクヌクとしていると、アレコレ着込んでまで「バイクに乗りたい」という気持ちは消えてしまった自分に気付いた。
バイク乗りは知っている。冬の凍てついた空気の中を走り抜けるからこそ、春の日差しの暖かさに生きている喜びを感じることを。
凍える指先をグローブ越しにエンジンの熱で温め、冷えた体には熱いコーヒーを飲み込んで走り切る。冬の寒さも悪くないと思う瞬間だ。
しかし、もはや40も半ばを過ぎたおっさん。老体にこの寒さは堪えるというもの。春夏秋冬、季節に体を合わせてバイクに乗っていたあの頃とは違うのだ。
春に向かう寒さと冬に向かう寒さ
何も寒いのが嫌いと言うわけではない。
寒さには実は2種類ある。春に向かう寒さと冬に向かう寒さだ。
おそらく気温的には、どちらも同じ温度で寒いことには違いはない。ところが、春に向う寒さと冬に向かう寒さでは、体の反応が細胞レベルで違ってくる。
冬に向かう寒さは、暗く冷たく心の芯まで冷え冷えするのに対して、春には向かう寒さは、体が受ける寒さは一緒でも、心の奥底には暖かい春の日差しが差しているのだ。
その証拠に、今までバイクを購入した時期は、8割以上が2月か3月なのだ。
バイクが気持ちいい季節と言うと、夏を思い浮かべる人が多いだろう。
確かに、夏は夏でうだるような暑さの中を走り抜けるのも、自虐的で気持ちが良いのだが、私が1年を通して1番気持ちいいと思う時期は、春に向かって動き出した寒さ残る初春だ。
この時期は、冬のキンとした張り詰めた空気の中に、ポカポカとした春の日差しを体で感じることが出来る。そして、うっすらと新芽が芽吹きだした春の匂いを嗅ぎながら走れる最高に気持ちの良い季節だ。
春から夏にかけて
初春から春にかけては、気持ちは晴れやかでも体には寒さが残る。
それに比べて春から夏にかけての季節は、まさにバイク乗りとって最も過ごしやすい季節ではないだろうか。
薄手のジャケットを羽織って、新緑も鮮やかな峠道を走っていると、子供の頃に走り回っていた田んぼのあぜ道や、春の風が通り抜ける裏山を思い出す。
バイクに乗っていると、肌で感じる太陽の暖かさや、風の匂いでふと郷愁の思いに駆られる。
バイクを降りて早5年、それでも未だにバイクに乗りたいという気持ちが燻り続けるのは、この郷愁に駆られたい思いからかも知れない。
そんな気持ちにさせてくれる季節が、まさにこの春から夏にかけてだ。
夏から冬にかけて
毎年記録を更新する酷暑。
二昔前なら何とか乗れていた夏場も、温暖化の影響で猛暑日にバイクに乗ることは自殺行為であり熱中症との戦いだ。
そして、残暑も終わると短くなった秋はあっという間に過ぎ去り、冬に向かう寒さの到来だ。
つまり、バイク乗りにとって最もバイクが欲しくなる季節とは、初春から初夏にかけてであって、夏を迎える頃にはボルテージは最高潮に達し、夏から冬にかけてはその熱は萎んだ風船のように冷めていくのだ。
そんなルーティーンを、ここ5年ほど繰り返してきたが、去年の夏から冬となった今のこの時期がもっともボルテージが下がっているタイミングだ。
そしてあと1ヵ月もすればまた、心の奥底に秘めたバイク熱の灯が再燃することだろう。